登壇概要

現場とIT部門との関係を良好に保つことは、ビジネスを加速するためにも重要です。しかしながら、多くのIT部門やエンジニアの皆様が経験されているように、現場とIT部門との間には時に深い溝が存在します。さまざまな理由から「受発注関係」のような間柄になり、本質的な課題解決につながらないケースも少なくありません。

NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)も、かつて同様の課題に直面しました。現場からの「IT部門から貸与される事務用PCでは開発ができない、各自で調達した開発用PCではコミュニケーションが取れない」といった声に対して、IT部門からはそれは開発者のワガママだと言われるような、認識の隔たりがあったのです。

本セッションでは、私たちがいかにしてこの状況を打破し、双方にメリットのある交流関係を築き、最終的に大きな成果を上げたのか、その取り組みを紹介します。

この過程で、私たちは現場、IT部門それぞれが抱える具体的な「Issue」に徹底的に着目しました。そして、立場の垣根を越えた「対話」を重ねることで、開発用PCのガバナンス強化と開発者の生産性向上という、一見すると相反する要求を両立させる解決策を実現しました。

このセッションでは、以下のポイントに焦点を当てて解説します。

Issueドリブンなアプローチ:
本質的に現場にのみ存在するIssueを、どのようにIT部門と共有したか。単なる共有に留まらず、いかに具体的な対話から解決策を導き出したか。

信頼関係構築の道のり:
大企業特有の「反対勢力」や「組織間のサイロ化」といった壁に直面しながらも、いかに「小さい信頼の積み重ね」を通じて協力者を増やし、プロジェクトを推進したか。トライアルからGA(一般提供)まで2年を要したその裏側にも触れます。

IT部門のパラダイムシフト:
「故障ゼロ」のような評価基準ではなく、従業員満足度やデリバリー速度といった、よりユーザー(従業員)志向の評価基準へシフトすることの重要性と、それが組織に与えるポジティブな影響。

継続的な対話の仕組み:
一度きりの成功で終わらせず、迅速なフィードバックサイクルと「困った、助けて」が言える心理的安全性の高い関係性を維持・発展させるための具体的な営み。

このセッションは、日々の業務でIT部門や他部門との連携に課題を感じているエンジニアの皆様、あるいは、より現場に寄り添ったITサービスを提供したいと考えているIT部門の皆様にとって、実践的なヒントと明日から行動を起こすためのインスピレーションを提供します。

来場者へのメッセージ

「なんで言うこと聞いてくれないんだ!!」「なんて無茶なことを言ってくるんだ!!」と内心腹立たしく思うことは、現場の立場でもIT部門の立場でもあると思います。こうした話は圧倒的に対話が足りないところから始まると学んだことで、私は気持ちの持ちようがだいぶ変わりました。こういったところを追体験いただければと思います。

登壇者プロフィール

2013年NTTコミュニケーションズ(当時)入社。ユニファイドコミュニケーションサービスの開発に関わる中で認証認可について学ぶ。2017年よりセキュリティ領域の研究開発にキャリアチェンジ。その後研究開発部門のバックオフィスとしてエンジニアの働きやすい環境整備や部門内のセキュリティマネジメントに奔走する傍ら、情報セキュリティ心理学の研究で大学院修了。2025年4月より現職。千葉県出身。